ジャズフルート奏者小島のり子。ジャズスタンダードへのリスペクトは強いですが、日本酒を飲んで、その銘柄のネーミングと味わいとを合わせて、曲にして吹いています。ちなみにお酒は若い頃から好きでした、が、さほど強くはありません。
このコンテンツでは日本酒との出会いや味わいのことと、そこからできたオリジナル曲のことを書いています。
その1と、その2で、初期の日本酒シリーズオリジナル曲からCD「Lush Life」収録の7曲と、これらの曲のもとになったお酒のことまでを書きました。
その3では、CD「Songs for My Sake」の収録曲と、お酒のことを書きます。1曲を除いて、7曲を2010年に作曲しています。自分にとってこの年は作曲する1年 でもありました。
今後、CD未収録のものや2011年以降に作ったものを書いていこうと思っています。
※作曲年代順に並べます。
※蔵のある場所も作曲のヒントになりました、ので、記しておきます。
※リンク
日本酒を曲に綴る、その1日本酒を曲に綴る、その2--
@開運-呑みきり一番(かいうん,のみきりいちばん) 純米
「October The First」
静岡県掛川市、土井酒造。
2009年10月1日作曲。CD「Songs for My Sake」収録。
[お酒について]静岡県西部地区の酒屋さん9店で作られた"粋遙倶楽部(すいようくらぶ)"オリジナルのプライベート・ブランド日本酒。このお酒は毎年、春に利き酒をしてタンク買いしたものが瓶詰めされ、秋に限定本数販売されます。ソフトな甘みと味わいがあり、選ばれた開運ならではの美味しさがひろがります。
[曲について]このCDのなかで、一番最初にできた曲です。
秋上がり、ひやおろし、といったお酒は味がのっていて美味しい。また、10月1日は日本酒の日、ということでこのタイトルにしました。美味しいもののたくさんある秋、空の高くなる秋、そんな秋の楽しさをサンバにしました。サンバですがジャズらしい進行もいれて、自分らしいものになっていると思います。
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@阿櫻(あざくら)純米吟醸無濾過生原酒秋田酵母No.12
「Primaveral」
秋田県横手市、阿桜酒造
2010年1月26日作曲。CD「Songs for My Sake」収録。
[お酒について]
秋田酒こまちを55%精米し、新酵母「秋田酵母No.12」で仕込んだ純米吟醸。ラベルのグリーンの文字が、青りんごを連想させます。しっかりした味わいと、フルーティな香り、あまずっぱい美味しさ。特徴的な美味しさのあるお酒です。
[曲について]
プリマベーラルは英語で"早春の"という意味。寒さの中に咲く寒桜がほろこんで澄んだ空気の中で春を待つ、そんなイメージで作りました。甘酸っぱさのある叙情的なジャズ・ワルツですが、早春のスピード感もあります。
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@国の寿(くにのことぶき)特別純米,山田錦
「Since We Met」
福岡県柳川市、目野酒造
2010年1月作曲。CD「Songs for My Sake」収録。
[お酒について]地元福岡の山田錦を55%まで磨いて、福岡夢酵母で造ったお酒です。ほど良い濃さと控え目な香り、さっぱりしすぎない、バランスのよい美味しさ。酒の名前は、国の安泰と発展を願って初代蔵元が命名したもの。
[曲について]ギター田口悌治の地元でもある柳川。再会と、柳川への再訪を曲にしました。柳川が「ようこそいらっしゃいました」と、わたしを招いてくれるイメージからはじまります。セカンドラインを彷彿させるキックが入っている、爽やかさのなかに懐かしさもある、粋でかっこいい曲になったかと思います。
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@雪譜(せっぷ)純米
「Snow Notes」
新潟県南魚沼市、青木酒造
2010年3月1日作曲。CD「Songs for My Sake」収録。
[お酒について]地元南魚沼産の五百万石を使って造られています。特徴のある酸味とさりげない味わい、すっきりしていて、かわいらしさもあるお酒です。銘柄の由来は鈴木牧之著「北越雪譜」から。また、ラベルも牧之のスケッチをもとにデザインされたものです。
この銘柄は2011年に生産終了となりました。青木酒造はメインの「鶴齢(かくれい)」意外に、「雪男」をまた新たに展開していくようで、こちらも楽しみです。
[曲について]"雪の音"、"雪からの便り"といった意。米どころ、水の美味しいところ、そして雪の沢山降り積もる、魚沼の雪景色をイメージしました。軽やかなところもあるお酒の味わいを思い出して、中間部に軽やかなペダル部分を入れました。
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@越乃景虎-名水仕込(こしのかげとら,めいすいじこみ)特別純米
「The Little Cascade」
新潟県栃尾、諸橋酒造
2010年4月19日作曲。CD「Songs for My Sake」収録。
[お酒について]越乃影虎の中でもひとつランクが上の名水仕込。柔らかで澄んだ口当たり、すっきりとしていて、叙情的ともいえるような美しいお酒です。
[曲について]山の奥にある、小さな滝がさらさら流れている様子をイメージして作りました。しずくが跳ねてきらきらしている様子も。爽やかなボサノバです。コードは自然についていますが、ベースが5度でなく6度のペダルで、そこに独特の味わいがあります。お酒の味わいに合わせてみました。
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@浦霞(うらがすみ)純米酒
「Blues In The Sky」
宮城県塩竈市、株式会社佐浦
2010年6月29日作曲。CD「Songs for My Sake」収録。
[お酒について]お米の旨みが生きている、まろやかさと、すっきりとした味わいのあるお酒。いつ飲んでも美味しい安定した美味しさと価格。燗酒にしても好いです。気取らない、いつも飲みたくなる親しみやすさと美味しさがあります。
[曲について]このお酒自体が、自分にとってきのおけない友人のように思える、そこで、皆で集まってわいわい飲んでいるようなイメージのブルースにしました。(Bluesですが)ご機嫌なブルース。
曲名は"空にブルースがある"の意。最初の3つの音が「ミ、ソ、ラ」ではじまっているので、みそら=み空で、このタイトルを付けました。Cのブルースです。
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@加賀鳶(かがとび)純米吟醸
「The Cool Kite」
2010年7月28日作曲。CD「Songs for My Sake」収録。
石川県金沢市、福光屋
[お酒について]銘柄「加賀鳶」は、江戸時代の加賀藩江戸屋敷お抱えの火消しが由来。大変粋で人気があったとされています。フルーティな吟醸香と、キレの良い飲み口が特徴。爽やかな中に、ちょっと独特の味わいがあって、それがまた魅力です。冷たくして飲むのが美味しい。
[曲について]鳶ということで、「和」のイメージを凝縮して作りました。日本音階を意識的に使って作った初めての曲になりました。ベースパターンと日本的なコード進行の上に、凧がくるくると舞うようにメロディーが踊ります。本編はマイナーブルース、後半はまたベースパターンに戻ってドラムスがソロを繰り広げます。CDではテーマ後半にピッコロを重ねました。
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@田酒(でんしゅ)特別純米
「Not To Worry」
青森県青森市、西田酒造店
2010年8月18日作曲。CD「Songs for My Sake」収録。
[お酒について]銘柄の「田」は田んぼを意味しているとのこと。お米の旨味が生きる、しっかりしたお酒。どっしりとしていますがしつこくなく、ゆたかな味わい。飲んでいてゆったりとした気持ちになるお酒です。お酒好きの人が愛するお酒。
[曲について]ゆったりとしていて、懐かしき良きジャズの、粋な心地よさがある2ビート・ナンバー。アドリブは4ビートに。カウント・ベイシーの楽曲にも通じるものがあるかと思います。曲名は、"大丈夫、心配しないで"という意味
追記:新しく作った曲、とりあえずこちらに書いておきます。
CD未収録(2015年6月リリースのCD[anyway]収録予定のものもあります)
@飯能-風土季(はんのう,ふどき)/飯能、丸屋酒店&五十嵐酒造、プライベートブランド、限定メンバーへの予約&販売。
@御前酒(ごぜんしゅ)/岡山県真庭市勝山、辻本店。
@菊石,純米酒-夢ゆたか(きくいし,ゆめゆたか)/愛知県豊田市、浦野合資会社。
@岩の蔵-純米(いわのくら)/佐賀県小城市、天山酒造。
@初雪盃(はつゆきはい)/愛媛県伊予郡砥部町、協和酒造。
@春鹿-純米超辛口(はるしか)/奈良県奈良市、今西清兵衛商店。
@神雷(しんらい)純米吟醸/広島県神石高原町、三輪酒造。
@千福(せんぷく)純米吟醸/広島県呉市、三宅本店。
@月山(がっさん)純米吟醸/島根県安来市、吉田酒造。
Always with you
銘柄にこだわらず、日本酒へのオマージュを曲にしたもの。