10月1日に、新しい楽器を買いました。
アメリカはボストンのメーカー、パウエルのハンドメイド。ビンテージじゃないけど、中古です。
つい、この間まで使っていたヘインズには、以前からずっと憧れがあって、通算10年くらい吹いていたかなあ。4年くらい前からはオールド・ハンドメイドを吹いていました。4万番台なので、そんなに古くないけど。
ヘインズ・ハンドメイドからは、学んだことがたくさんあった。
この楽器は、息を入れすぎると音がうらがえる。ピッチも難しい。音量も音圧もあまりない…でも、何とも愛おしい楽器だった。深みのある暖かな低音と、つややかな中音と、恥じらうような甘い音色の高音。
フレーズではなく、音色やタッチでも説得力ある音楽ができる、ということを教えてくれたのはこの楽器。美しい響きを出すための息のまとめ方も、ヘインズのおかげで分かって来た。
でもでも、やっぱりもう少しパワーのある楽器が欲しかった。ピッチのこともあって、思い切ってパウエルを手に入れました。
悩んだ結果、ストロビンガーというシリコンパッドが標準装備だったけど、古いタイプのフェルトタンポ(パッド)に変えてもらいました。その方が自然だから。
今の楽器は、力強い。息も沢山入ります。
ピアニシモから、フォルテまでレンジが広い。ピッチも、キーの操作性も安定しています。
どんな音を出したいか、考えて吹く。パワーがあって、明るさやたくましさを感じる音色だけど、ちゃんと考えて吹いていれば、だんだんイメージした音がでてくるんじゃないかなと思う。
イメージしているのは、こんな感じ。
ひとつは、フランク・ウェスのような、小粋な4ビート。厚くしっかりとした2ビートのグルーヴ感とか。
もうひとつは、エリック・ドルフィーの自在さ、飛翔するような自在なフレーズ。
そして、もうひとつは、自分らしさ。
…自分のことは自分ではあまり分からいけど、上記の2アイドルが男性、で、わたしは女性なので、しっかりしたパウエルの音色のなかにも女性的な部分や、柔らかな音色がでてきたら幅が広がって楽しいだろうなあと思う。また、自分独特の駆け上がりやフレーズ、オリエンタルな持ち味も吹いて行きたいと思っています。
これをきっかけに、またいろいろ展開できると好いなあ。
早く自分の一部になってほしいです。
若い頃は、楽器によって自分の音楽が変わるとは思わなかった。どんな楽器でも自分は自分、自分のフレーズは自分のフレーズ、変わることはないと。
気がつけば、楽器の特性によって、作る曲の雰囲気やレンジまで変わってしまったりすることもあるんだなあ、と思うのがここ数年です。ずぼらなようで、人間とは敏感なものなのだなあ。不思議だ。
人とも出会い、楽器とも出会い、それがまた自分を前に進めてくれる。
どう吹いて行くか、何を手がけて行くか、
楽しみです。