日本酒ライブやイベントで、お客様にお渡ししているフライヤーを、追加訂正してまとめてみました。お酒を曲に綴り、吹いて、レコードに収録し、というこじのりの日々。そのわけは…
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ジャズフルーティストの、小島のり子と申します。
わたしは、日本酒を飲んで、その銘柄のネーミングと味わいとを合わせて、曲に綴っております。仲間とのツアー、蔵コンサートや日本酒ジャズライブも、わしわしと行なっております。
そもそも「なぜ、日本酒を題材に曲を作っているのですか?」と、よく聞かれます。今回はそのお話をしたいと思います。
作曲は、手がけるプレイヤーと、殆どしないプレイヤーと分かれるところかと思いますが、自分は若い頃から(拙くとも)曲を作っていました。そして、曲を作るきっかけは、みなさんいろいろあるかと思います。好きな場所、人、ものへのオマージュ、出来事や気持ち、読んだ本や映画からインスパイアされて、などなど。旅にでて曲を作る、というのは良く聞く話ではないでしょうか。
わたしは、以前から日本酒が大好きでした。お料理や気持ちに合わせて色々楽しめる、冷やして美味しく、温めて(燗して)美味しい、濁りも美味しい、無添加防腐剤無し、といいことずくめです。味わいの軽いもの、香りの良いもの、酸の乗っている楽しいもの、ぐっとお米の味のするもの、しぼりたて、無濾過、生、火入れ、ひやおろし、味わいも色々、季節によっても楽しみ方を変えることもできます。
ふわりと酔って、楽しい気持ちになって、また次の日のやる気も出るというものです。
前世紀、わたしはたびたび、友人Sさんといろいろな銘柄をピックアップして飲んでいました。当時は何種類も楽しめるお店はそれほど多くありませんでしたが、友人はマニアなところもあって、お店を探したり、また頼んで仕入れていただいたりして、様々なお酒を仲間と楽しみました。
お酒の銘柄は[桜][藤][月][鶴][獺]…といった、花鳥風月(や動物)を含み、美しい文字でラベルに書かれています。情景が浮かぶようなこれらの銘柄を、曲にしたら面白いのではないか、と、ふと思い、お酒由来の曲を作り始めました。銘柄の持つイメージにインスパイアされたわけです。
このことをきっかけに少しずつ、日本酒由来のオリジナル曲ができて来ました。
2001年にリリースの、What’s New Records第1作目CD「春の如く」には、日本酒関連の曲を2つ収録しました。1つは、「獺祭(だっさい)-Otter’s Fest」。獺(カワウソ)がダンスを踊るイメージで作りました。もう1つは「春の淡雪-Light Snow In Spring」、「桜が満開の四月にはらはらと淡雪が降って来る」というロマンティックな情景を曲に綴りました。ライナーにもそれぞれの曲とお酒の解説を書きました。
作曲する時わたしは、お酒の銘柄にある花鳥風月や自然、動植物、景色、などのイメージをふくらませます。これが曲の雰囲気になることが多いのです。
そして次第に、これらにお酒の味わいも加えて作曲するようになりました。柔らかいお酒はやさしい感じの穏やかな曲に。ぐっとくる味わいのお酒はご機嫌でグルーヴィーな曲に、という風に。
CD「Lush Life」と「Songs For My Sake(ソングス・フォー・マイ・セイク…またはサケ)のために、それぞれ7銘柄、8銘柄のお酒を曲に綴りました。CD「anyway」にも、4銘柄のお酒の曲が収録されています。
この他にも、イベントやご縁がありまして、また思い立って作ったものもあり、わたしの作曲した日本酒関連の曲は30銘柄を越えました。
下に、アルバム名と収録曲をまとめてみました。お好きなお酒があるでしょうか。飲みながら聴いていただくのも楽しいかも知れません。お酒は生き物、毎年味わいが変わります。わたしのイメージとはまた変わっているところもあるかも知れません。お好きに楽しんでいただければ、とも思います。
また、お酒を飲まれない方は、小島節と言われるわたしの音世界を、英語タイトルのイメージとともに楽しんでいただければ、嬉しく思います。ジャズスタンダードも、民謡アレンジも、心を込めて吹いています。
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CD[春の如く] 2001年
1. I Thought About you
2. Those Spring Days** 3. Dat Dere
4. It Might As Well Be Spring:春の如く
5. Light Snow In Spring 春の淡雪 出羽桜酒造*
6. Otters' Fest 獺祭 旭酒造*
7. Di mana?:どこへ** 8. Let's Cool One
¥2,800/小島のり子(flute,alto-flute) 二村希一(p) 澁谷盛良(b) 山口新語(d)
CD[NORINOTE] 2005年
1. 4 O'clock Train** 2. Vega** 3. Come Rain Or Come Shine
4. We Will Be Together Again 5. New York Bossa
6. シェルブールの雨傘 7. 山茶花”Sasanqua” **
8. ジョホールバルの黒豹** 9. Triste
¥2,800/小島のり子(fl,al-fl) 二村希一(p) 澁谷盛良(b) 広瀬潤次(d) 山口友生(acoustic-guitar) 日本酒オリジナル曲は収録していません
※2020年,終売いたしました。
CD[Lush Life] 2009年
1. I Hear A Rhapsody
2. Bridge In The Afternoon-獺祭 磨き三割九分*
3. For Better Days-開運 特別純米*
4. When The Moon Hugs The Shore-月の井 純米吟醸無濾過*
5. Hototogisu~The Water Clock-ほととぎす~大七 純米きもと*
6. The Shade Of Wisteria-藤のかげ**
7. Seven Ways To A Kiss-七田 純米無濾過*
8. Mythic Goblin-温羅 無濾過生原酒(PB)*
9. Lush Life 10.Crane Is Fling In The Dream-鶴齢 純米吟醸*
※2021年,終売いたしました。
CD[Songs For My Sake] 2011年
1. What Is This Thing Called Love?
2. Snow Notes-雪譜 純米酒(生産終了)*
3. Since We Met-国の寿 特別純米(生産終了)*
4. 五木の子守唄(日本民謡)
5. The Little Cascade-越乃景虎 名水仕込 特別純米*
6. For Heaven's Sake
7. Blues In The Sky-浦霞 純米酒*
8. Primaveral-阿櫻 純米吟醸無濾過生原酒秋田酵母No.12*
9. Not To Worry-田酒 特別純米*
10.The Cool Kite-加賀鳶 純米吟醸*
11.October The First-開運 呑みきり一番 特別純米*
¥2,800/小島のり子(fl,al-fl,bass-flute,pic) 二村希一,大口純一郎(p) 鈴木克人(b) 水口泰邦(d) 田口悌治(g;Gibson175)
CD[anyway] 2015年
1. Looking Up To The Sky-初雪盃 純米吟醸,生原酒*
2. A Daydreamer-菊石(きくいし)純米酒,夢ゆたか*
3. Always With You**
4. Brilliant Waterfall-岩の蔵(いわのくら)純米吟醸*
5. Sound Of Silence /Paul Simon
6. Chick’s Tune /Chick Corea
7. Mogamigawa Funauta 最上川舟唄(日本民謡)
8. Ruby, My Dear /Thelonious Monk
9. Kagiroi-春鹿(はるしか)純米,超辛口*
¥2,300/小島のり子(fl,alt-fl) 田口悌治(g;Gibson) 澁谷盛良(b) 小泉高之(d)
価格は総て税込み。
*日本酒の銘柄由来のオリジナル曲
**その他のオリジナル曲
総てのCDはamazon,他、ネットで、またライブ会場で販売もしています。小島からお送りすることもできます。おもうしつけください。
さて、日本酒由来のオリジナル曲、もう1つ作っています。「Alyways with you」2014年作曲。“銘柄とその味わい”を曲に綴るのではなく、日本酒へのオマージュを曲にしました。友人からのアイディアでした。どのお酒のイベントでも、銘柄を選ばず吹くことができます(笑)
いつも温かくほっとさせてくれる、美味しい、大好きなお酒(ちなみに燗が好きです)。気取らずくつろげる、お休み時間の大切な相方。「いつでも一緒に」という意味のタイトルをつけました。ほのぼのした2ビートナンバーになりました。エノケンの「わたしの青空」的な世界観のつもりでしたが、映画「三丁目の夕日」的だとも言われます。歌詞もつけたので、ヴォーカリスト仲間がライブで唄ってくれることもあります。
ジャズは結構がっつり系が好きだと思うわたしですが、この ほっこりした曲が人気なのは、また何とも嬉しいことでもあります。CDはもちろん、YouTubeにもUPしてありますので、宜しければ聴いてみてくださいね。
民謡、童謡やポップスのコンテンポラリー・アレンジ・シリーズも、ちょっとずつ進めておりますが、その話はまた改めて。
今後とも、どうぞよろしくおねがいいたします。